どうしてワキガが起こるのか?
ここでは、ワキガと多汗症の仕組みそのものを解説していきます。
エクリン汗腺
エクリン汗腺はいわゆる汗を分解する汗腺です。主要な任務は体温を調節すること。水分が気化するときに皮膚の表面から熱を奪う気化熱を利用して、熱くなった体温を下げています。
つまり夏にかく汗の出口がエクリン汗腺なのです。このエクリン汗腺から出るエクリン汗は、成分のほとんどが水です。約1%の塩分を含みjますが、無色・無臭でサラリとしています。
ちなみにエクリン汗に塩分が含まれているのは、皮膚を殺菌するためと言われています。注意してもらいたいのは、エクリン汗がワキガの主犯格ではないことです。
よく「汗臭い」などと表現するニオイは、このエクリン汗を拭かないまま放置したことで雑菌が繁殖したニオイを指します。
アポクリン汗腺
エクリン汗腺の10倍のの大きさであることから「大汗腺」などと呼ばれているのがアポクリン汗腺です。
この汗腺は分布場所もエクリン汗腺とは違います。全身にはなく、ワキの下や陰部、乳首のまわり、おへそのまわり、耳の中など、かなり限られたところにあります。
また毛穴に開口しているのも大きな特徴です。この汗腺から出るアポクリン汗は、一般的な汗であるエクリン汗と全く異なるものです。
脂肪、鉄分、色素、蛍光物質、尿素、アンモニアなどを含み、粘り気があるのあ特徴です。乳白色をしています。
皮脂腺
毛穴に出口が直結している皮脂腺は、汗を流すのではなく、「皮脂」と呼ばれる脂肪を分泌します。
この皮脂はエクリン汗と混ざり、肌を保護する役目を担っています。ただし活動が活発過ぎると脂性となり、ニキビができやすい肌質となります。
顔のTゾーンがべとつくのは、皮脂腺が働き過ぎているためなのです。逆に皮脂腺の活動が低調だと乾燥肌となってしまいます。
毛穴から出てくる脂の管と聞くと、あまり嬉しくありませんが、実は肌の具合を整える非常に重要な器官なのです。
エクリン汗腺、アポクリン汗腺、皮脂腺。この3つの分泌腺が手を組むと、あの強烈なニオイが生み出されます。
意外にも女性の方がワキガになりますい
一般的なイメージでは、男性と女性を比べたら男性の方が臭いと考えがちですが、ワキガに絞って考えると、女性のほうがなりやすい傾向があります。
クリニックに訪れる患者さんの比率も、男性3に対して女性7になり、女性の方がかなり多いのです。
もちろん男性は女性ほど体臭をきにしない傾向にあるので、それがこの差に表れているとも言えます。
しかしアポクリン汗腺の分布状況を調べると、男性よりも女性のほうが広い傾向にあり、男性に比べて皮下脂肪が厚いことも、体臭を強くすることにつながっています。
食事については、男性の方が高タンパク質の食事をとる率が高いものの、スイーツなどで日常的に糖分な乳製品をとる機会が女性には多い。
こうした生活習慣がワキガ体質を強める傾向にあるのではないかと推測されています。
さまざまな種類がある多汗症
多くの汗が流れる以外、それほど厳密な定義があるわけではないのです。
一般的な人よりもひどく汗をかいており、体温調整の必要がないのに大量の汗をかいてしまう症状を呼びます。
多汗症は症状の表れる部位などによって、大きくは次の2つに分かれます。
全身性多汗症
全身から発汗する多汗症で、胸部や腹部、背中、臀部、大腿部などから大量に汗が出たら、全身性多汗症を疑いましょう。
この多汗症は、少し注意が必要なものでこのような症状は、急性リウマチやバセドー病、結核、更年期障害などの病気が原因でホルモンバランスを崩しているケースがあります。
また脳の視床下部の体温調整中枢に異常が起きているケースなどが想定されるからです。
生まれつきの体質である場合も否定できないのですが、いずれにしても素人判断は禁物です。
局所性多汗症
ワキの下や手のひら、足の裏、頭部など局所に汗をかく多汗症で、多くの方が悩んでいる多汗症はこのタイプです。
この多汗症は主に精神的な動揺やストレスから引き起こされてます。いきなり発言を求められて大人数の前に立った時に冷や汗が出た意見などは誰にでもあるでしょう。
そのような精神的な要因から起こる発汗が、この多汗症です。汗をかいているときがさらにパニックを生み発汗を促してしまうケース、ワキガの人がニオイを気にしすぎて、局所性多汗症になったケースなどもあります。
この局所性多汗症は、汗をかく場所によって、さらに細かく分類されています。
腋芽多汗症(えきが)
ワキの下に大量の汗をかく多汗症のことです。
ワイシャツやTシャツなどがワキの下だけ濡れてしまって困っているといった内容で、濡れると色が変わる濃い色のシャツなどが問題で、恥ずかしくて着れないという事案です。
しかし、腋芽多汗症(えきがたかんしょう)については、超音波治療法での完全な治療が可能なため、対処のしやすい局所性多汗症といえます。
手掌多汗症(しゅしょう)
まれに手汗症ともいわれる手のひらの多汗症です。異性と手をつなごうとしたら汗が出てきてしまったことなどは、多くの人が経験することです。
しかし手掌多汗症の場合は、さまざまな場面で大量の汗が出てしまいます。